月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第12章 半月
「まさか、幾ら何でも、そんなことあるはずがないわ。景福、私も及ばずながら一緒に探させて貰うから、悪いことばかり考えないようにしましょう、ね?」
そこまで言った時、頭上から声が降ってきて、香花は飛び上がった。
「駄目だ」
「―光王、びっくりさせないで」
香花が胸を片手で押さえながら言うと、光王は腕を組んだ姿勢で憮然として立っている。
どうも、すごぶる機嫌が悪いようだ。基本的に光王は香花には甘いが、こと香花の身の安全に拘わる問題となると、どこまでも頑固になる。ひとえに香花に危険を冒させたくないからだとは判るが、これは香花にとっては、いささか過保護すぎるのではという感がある。
光王の眼が据わっていて、顔つきが怖い。
香花は身を縮めながら、怖々と光王を盗み見る。
「幾ら光王が駄目だと言ったって、私は行きますから」
「俺の言うことがきけないのか?」
低い抑揚のない声もよほど怒っている証拠である。しかし、香花がそんなことに怯むはずがなかった。
そこまで言った時、頭上から声が降ってきて、香花は飛び上がった。
「駄目だ」
「―光王、びっくりさせないで」
香花が胸を片手で押さえながら言うと、光王は腕を組んだ姿勢で憮然として立っている。
どうも、すごぶる機嫌が悪いようだ。基本的に光王は香花には甘いが、こと香花の身の安全に拘わる問題となると、どこまでも頑固になる。ひとえに香花に危険を冒させたくないからだとは判るが、これは香花にとっては、いささか過保護すぎるのではという感がある。
光王の眼が据わっていて、顔つきが怖い。
香花は身を縮めながら、怖々と光王を盗み見る。
「幾ら光王が駄目だと言ったって、私は行きますから」
「俺の言うことがきけないのか?」
低い抑揚のない声もよほど怒っている証拠である。しかし、香花がそんなことに怯むはずがなかった。