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月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】

第12章 半月

「ったく、現金な奴だぜ。いつもなら騒馬って呼べば、カンカンになって怒るくせに」
 光王は一人でぶつくさと呟いた。
「ま、けど、怒った顔も可愛いが、香花は笑顔がいちばんだな」
 そういう光王の表情はどこまでも嬉しげで―早くも女房に鼻の下を伸ばしている亭主そのものの顔である。
 喧嘩したり、仲直りしたりと忙しい二人を、景福は奇妙なものでも見るような眼で唖然と見つめていた。

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