月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第13章 十六夜の悲劇
「俺は引き返して、景福や恵京を連れてくる」
〝本当に一人で大丈夫か?〟と眼で訊ねられ、香花は無理に笑顔を作った。
「私なら、大丈夫、早く、呼んできてあげて」
そう言うと、自らのチョゴリを脱いで、一糸纏わぬ昌福の身体にそっとかけてやった。
光王は風のような勢いで駆け出し、瞬く間に夜のしじまに消えた。元々、光王の身体的能力は超人的なものがあるのだろう。
「昌福、お願い、ねえ、もう一度だけ眼を開けて」
香花が問いかけても、昌福は固く眼を閉じているだけだ。あの黒いつぶらな瞳が開くことは二度とない。あの笑顔も永遠に見られない。
ピンクの小花に埋もれるようにして横たわる昌福はまるで眠っているように見えた。
「許せない―」
誰が何の権利があって、幼い、いたいけな子どもを性の餌食にし、あまつさえ殺すのだ。
〝本当に一人で大丈夫か?〟と眼で訊ねられ、香花は無理に笑顔を作った。
「私なら、大丈夫、早く、呼んできてあげて」
そう言うと、自らのチョゴリを脱いで、一糸纏わぬ昌福の身体にそっとかけてやった。
光王は風のような勢いで駆け出し、瞬く間に夜のしじまに消えた。元々、光王の身体的能力は超人的なものがあるのだろう。
「昌福、お願い、ねえ、もう一度だけ眼を開けて」
香花が問いかけても、昌福は固く眼を閉じているだけだ。あの黒いつぶらな瞳が開くことは二度とない。あの笑顔も永遠に見られない。
ピンクの小花に埋もれるようにして横たわる昌福はまるで眠っているように見えた。
「許せない―」
誰が何の権利があって、幼い、いたいけな子どもを性の餌食にし、あまつさえ殺すのだ。