月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第13章 十六夜の悲劇
翌日、昌福の野辺の送りがしめやかに行われ、幼い魂は天へと還っていった。
昌福の突然の死で、本当なら既に次の興行地に向けて旅立っていたはずの一座は、いまだにこの町にとどまっている。弔いには香花も参列したが、小さな亡骸の納められた棺を担いだ後には、一座の者ほぼ全員が居並んだ。
昌福の母である恵京はいまだに衝撃から立ち直れず、床に伏したままの有様だ。
―かえって、その方が良いかもしれない。昌福が土に埋められるところなんか見たら、今度こそ母さんは気が狂ってしまうだろうな。
景福がやるせなさそうに洩らした言葉がひどく心に残っている。
意外にも一座の親方サヒョンは昌福の死を知り、憤怒のあまり、匕首を持って両班宋与徹の屋敷に乗り込もうとした。一座の若い衆に止められ、漸く思いとどまったのだ。座員を容赦なく顎で使っているサヒョンだが、座員思いの一面もあるらしい。
―昌福、昌福よう。
亡骸を包んだ筵が土中深く埋められるときも、サヒョンは男泣きに声を上げておいおいと泣いていた。
―こんなことなら、もう少し優しくしてやってれば良かった。さぞかし俺を恨んでることだうよ。許してくれ、昌福。
泣き崩れるサヒョンの肩を娘のミリョンがそっと抱いていた。
昌福の突然の死で、本当なら既に次の興行地に向けて旅立っていたはずの一座は、いまだにこの町にとどまっている。弔いには香花も参列したが、小さな亡骸の納められた棺を担いだ後には、一座の者ほぼ全員が居並んだ。
昌福の母である恵京はいまだに衝撃から立ち直れず、床に伏したままの有様だ。
―かえって、その方が良いかもしれない。昌福が土に埋められるところなんか見たら、今度こそ母さんは気が狂ってしまうだろうな。
景福がやるせなさそうに洩らした言葉がひどく心に残っている。
意外にも一座の親方サヒョンは昌福の死を知り、憤怒のあまり、匕首を持って両班宋与徹の屋敷に乗り込もうとした。一座の若い衆に止められ、漸く思いとどまったのだ。座員を容赦なく顎で使っているサヒョンだが、座員思いの一面もあるらしい。
―昌福、昌福よう。
亡骸を包んだ筵が土中深く埋められるときも、サヒョンは男泣きに声を上げておいおいと泣いていた。
―こんなことなら、もう少し優しくしてやってれば良かった。さぞかし俺を恨んでることだうよ。許してくれ、昌福。
泣き崩れるサヒョンの肩を娘のミリョンがそっと抱いていた。