月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第13章 十六夜の悲劇
「僕はこれからもっと練習して、一人前の芸人になろうと思ってる。父さんや昌福の分まで精進して、誰にも負けない朝鮮一の芸人になるよ」
「あなたなら、きっとやれる。必ず朝鮮一の芸人になるわ」
香花は確信を込めて力強く頷く。
彼女の瞼には確かに見えていた。
鳴り止まぬ拍手と、神業のごとく手先からナイフを繰り出す朝鮮一との呼び声も高い芸人―、その名は申(シン)景(キヨン)福(ボク)。大勢の大観衆の前でいささかも気圧されることなく堂々としたその態度は、まさに真の芸人と呼ばれるにふさわしい。
―彼なら、その夢を実現させるに違いない。香花は固く信じていた。
「でも、いけないわ。景福、その首飾りは、お父さんの大切な形見なのでしょ。私なんかが頂くわけにはゆかない。第一、お母さんにとってもお父さんとの想い出がつまった宝物じゃない」
「あなたなら、きっとやれる。必ず朝鮮一の芸人になるわ」
香花は確信を込めて力強く頷く。
彼女の瞼には確かに見えていた。
鳴り止まぬ拍手と、神業のごとく手先からナイフを繰り出す朝鮮一との呼び声も高い芸人―、その名は申(シン)景(キヨン)福(ボク)。大勢の大観衆の前でいささかも気圧されることなく堂々としたその態度は、まさに真の芸人と呼ばれるにふさわしい。
―彼なら、その夢を実現させるに違いない。香花は固く信じていた。
「でも、いけないわ。景福、その首飾りは、お父さんの大切な形見なのでしょ。私なんかが頂くわけにはゆかない。第一、お母さんにとってもお父さんとの想い出がつまった宝物じゃない」