月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第13章 十六夜の悲劇
香花の心を知ってか知らずか、景福は屈託ない笑顔で言う。
「母さんにもちゃんと話しているから、大丈夫。香花、僕は大人になったら、香花のように優しくて可愛い、笑顔の似合う奥さんを貰って、子どもをたくさん作るよ。最初に生まれた息子には必ず昌福という名前をつけようと思ってるんだ」
最後の言葉に、香花は胸をしめつけられた。
景福がどれほど亡くなった弟を思っているかが伝わってくる。
「母さんがこの首飾りを譲ってくれた時、僕に言ったんだ」
景福が笑顔で言い、香花の耳許に顔を近付けた。
「もし、僕に好きな女のひとができたら、結婚して下さいってお願いするときに、これを贈りなさいって」
後の方は小声でひと息に言ったので、十分に聞き取ることもできないほどだった。
「母さんにもちゃんと話しているから、大丈夫。香花、僕は大人になったら、香花のように優しくて可愛い、笑顔の似合う奥さんを貰って、子どもをたくさん作るよ。最初に生まれた息子には必ず昌福という名前をつけようと思ってるんだ」
最後の言葉に、香花は胸をしめつけられた。
景福がどれほど亡くなった弟を思っているかが伝わってくる。
「母さんがこの首飾りを譲ってくれた時、僕に言ったんだ」
景福が笑顔で言い、香花の耳許に顔を近付けた。
「もし、僕に好きな女のひとができたら、結婚して下さいってお願いするときに、これを贈りなさいって」
後の方は小声でひと息に言ったので、十分に聞き取ることもできないほどだった。