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月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】

第14章 第4話【尹(ユン)家の娘】・夢見る老婦人

 愛する良人を哀しませても、彼女はそこから離れられない。何故なら、あそこにいなければ、素花には逢えないから。あの場所にいる限り、彼女はいつも亡くなった娘と逢える。
 そして、彼女の願いは聞き届けられた。
 素花が亡くなって二年、彼女の許に素花が帰ってきたのだ。雪のような膚に黒い瞳、花びらのような唇を持つ美しい娘、素花に瓜二つの少女が彼女の前に現れた。

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