月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第14章 第4話【尹(ユン)家の娘】・夢見る老婦人
「はい、こちらのお屋敷の庭があまりにも綺麗なので、時々、こうして外から眺めさせて頂いております」
香花がうつむいて小さな声で応えると、老婦人は幾度も頷いた。
「それは嬉しいこと。我が屋敷の庭は、良人の自慢なのですよ。だから、誰でも自慢の庭を見られるようにとこうして常に門を開放しているのです。身分を問わず、見たい者がいれば自由に出入りして庭を眺めて欲しいというのが良人の心なのです」
やはり、この上品な婦人は当主である県監の妻だったのだ。
「さようでございますか」
香花が頷くと、老婦人は眼を細める。
「良かったら、少し伐らせますから、持ってお帰りなさい」
「い、いえ」
香花は慌てて首を振る。
「よろしいのです、私は時々、こうして門の外からお庭を眺めさせて頂くだけで十分なのですから」
香花がうつむいて小さな声で応えると、老婦人は幾度も頷いた。
「それは嬉しいこと。我が屋敷の庭は、良人の自慢なのですよ。だから、誰でも自慢の庭を見られるようにとこうして常に門を開放しているのです。身分を問わず、見たい者がいれば自由に出入りして庭を眺めて欲しいというのが良人の心なのです」
やはり、この上品な婦人は当主である県監の妻だったのだ。
「さようでございますか」
香花が頷くと、老婦人は眼を細める。
「良かったら、少し伐らせますから、持ってお帰りなさい」
「い、いえ」
香花は慌てて首を振る。
「よろしいのです、私は時々、こうして門の外からお庭を眺めさせて頂くだけで十分なのですから」