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月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】

第15章 不幸な母

か、光王?」
 痛いほどの力を込めて抱きしめられる。
「香花、俺は心配だ。お前がいつかふっと俺の側からいなくなってしまうような気がしてならないんだ」
 光王の顎が香花の艶やかな黒髪に当たる。
「そんなことあるわけないでしょ、光王。私はずっと、光王の側にいるわ」
「そうか、本当にずっと俺と一緒にいると今、ここで誓えるか?」
 いつも自信過剰なほどの男にしては、珍しく気弱な発言である。

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