月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第15章 不幸な母
香花の可愛らしい顔が台無しだと光王がひどく自分を責めていたことも、香花は知る由もない。
「香花、どうも気になるんだ」
え、と、香花が眼をまたたかせる。
「昨日、お前が話していた時―、萬安のところの赤ン坊の話を熱心にしてただろ、あの時、俺が考えていたことだ」
香花の中で昨夜のやりとりが甦る。元はといえば、萬安の息子ウォングの話を光王がろくに聞いてくれないのが原因で喧嘩になったのだった―。
「もう、あのことなら良いのよ」
同じことは繰り返したくない。香花が沈んだ声で応じると、光王は〝違う〟と強い口調で言った。
「お前は良くても、俺は良くない!」
物凄い剣幕に、香花がビクッと身を強ばらせるのが光王にもはっきりと判ったようだ。
また、昨夜と同じ気まずさが二人の間に漂う。それは光王が香花を求めてきた時、香花が見せた怯え様を光王が眼にしたときの反応と似ていた。
「香花、どうも気になるんだ」
え、と、香花が眼をまたたかせる。
「昨日、お前が話していた時―、萬安のところの赤ン坊の話を熱心にしてただろ、あの時、俺が考えていたことだ」
香花の中で昨夜のやりとりが甦る。元はといえば、萬安の息子ウォングの話を光王がろくに聞いてくれないのが原因で喧嘩になったのだった―。
「もう、あのことなら良いのよ」
同じことは繰り返したくない。香花が沈んだ声で応じると、光王は〝違う〟と強い口調で言った。
「お前は良くても、俺は良くない!」
物凄い剣幕に、香花がビクッと身を強ばらせるのが光王にもはっきりと判ったようだ。
また、昨夜と同じ気まずさが二人の間に漂う。それは光王が香花を求めてきた時、香花が見せた怯え様を光王が眼にしたときの反応と似ていた。