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月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】

第15章 不幸な母

 そうやって夫婦手を携えて歩んできて、結婚十八年目にやっと待望の我が子に恵まれた。懐妊が判ったときは、これまで天に恥じることなく行いを謹んできたからだと夫婦で泣きながら歓び合ったものだ。
「理蓮」
 徳義はもう何も言えず、腕の中で身をわななかせる妻の痩せた身体を抱きしめた。

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