
月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第16章 夢と現の狭間
「これは、何のお茶でしょうか」
訊ねると、理蓮が一瞬、怪訝な表情になった。
「まあ、何を言うのだ。これは薔薇茶ではないか。毎年、春と秋にあなたが手ずから花びらを摘み取って、乾燥させて作っていたのに。忘れてしまったのか?」
「えっ」
香花は戸惑いを露わにした。
理蓮との会話についてゆけなくなり、傍らのソンジュに助けを求める。ソンジュが慌てて言い添えた。
「奥さま、持ってくるようにおっしゃった品が来たようにございます」
その声が合図のように、屋敷の方から若い下男が大きな荷物を運んでくる。
下男はソンジュにそれを渡すと、一礼してすぐに戻っていった。
「奥さま、こちらのお嬢さまが今、お飲みになっているのは何のお茶なのかとお訊ねになっておられます」
ソンジュが改めて状況説明すると、夫人はハッとした表情で慌てて言い直した。
訊ねると、理蓮が一瞬、怪訝な表情になった。
「まあ、何を言うのだ。これは薔薇茶ではないか。毎年、春と秋にあなたが手ずから花びらを摘み取って、乾燥させて作っていたのに。忘れてしまったのか?」
「えっ」
香花は戸惑いを露わにした。
理蓮との会話についてゆけなくなり、傍らのソンジュに助けを求める。ソンジュが慌てて言い添えた。
「奥さま、持ってくるようにおっしゃった品が来たようにございます」
その声が合図のように、屋敷の方から若い下男が大きな荷物を運んでくる。
下男はソンジュにそれを渡すと、一礼してすぐに戻っていった。
「奥さま、こちらのお嬢さまが今、お飲みになっているのは何のお茶なのかとお訊ねになっておられます」
ソンジュが改めて状況説明すると、夫人はハッとした表情で慌てて言い直した。
