
月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第16章 夢と現の狭間
「どうぞ」
すんなりと差し出され、香花は二度、ひっくり返りそうになった。
「―」
香花が当惑していると、理蓮は微笑んだ。
「あなたには、言葉に尽くせないほど感謝しております。どうか、私からのお礼だと思って、お納め下さい」
次の瞬間、香花はふるふると首を振った。
「こんな立派なものを頂くわけには参りません。私は別にそんなたいしたことをしたわけではないのに」
「あなたは私を助けて下さったし、屋敷まで送って下さったわ。あなたがいなければ、私もソンジュもあのままずっと立ち往生していたことでしょう」
「人としての当然のことをしただけで、特別なことも何もしていません。そうおっしゃって下さるだけで、十分です」
「そんなことを言って、私をがっかりさせないで。これだけではありませんことよ、こちらの衣類もすべてお持ちになって欲しいのです」
すんなりと差し出され、香花は二度、ひっくり返りそうになった。
「―」
香花が当惑していると、理蓮は微笑んだ。
「あなたには、言葉に尽くせないほど感謝しております。どうか、私からのお礼だと思って、お納め下さい」
次の瞬間、香花はふるふると首を振った。
「こんな立派なものを頂くわけには参りません。私は別にそんなたいしたことをしたわけではないのに」
「あなたは私を助けて下さったし、屋敷まで送って下さったわ。あなたがいなければ、私もソンジュもあのままずっと立ち往生していたことでしょう」
「人としての当然のことをしただけで、特別なことも何もしていません。そうおっしゃって下さるだけで、十分です」
「そんなことを言って、私をがっかりさせないで。これだけではありませんことよ、こちらの衣類もすべてお持ちになって欲しいのです」
