
月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第16章 夢と現の狭間
香花が沈黙を守っていると、理蓮は微笑を絶やさぬまま続けた。
「お兄さん(オラボニ)と一緒に暮らしているそうね。町の酒場の女将の話では、あなたたちが本当の兄妹のようには到底見えないとか。まるで想い合う恋人か夫婦のようだと」
「―!」
香花の眼が零れ落ちそうなほど大きく見開かれた。
「あなたは―どうして私たちのことをそこまで知っているのですか?」
夫人の口ぶりで、明らかに香花と光王について身許を探らせたことが判る。
「あなたの真のお兄さんではないのね?」
そう指摘された途端、我知らず頬が赤らんだ。駄目だ、光王とのことを口にされただけで、鼓動がこんなにも速まり、身体が熱くなる。
落ち着きなさい、落ち着くのよ。自分に言い聞かせながらも、体温はどんどん上昇してゆく。心ノ臓が煩いほど跳ね上がり、その音が理蓮にも聞かれてしまうのではないかと思うほどだ。
「お兄さん(オラボニ)と一緒に暮らしているそうね。町の酒場の女将の話では、あなたたちが本当の兄妹のようには到底見えないとか。まるで想い合う恋人か夫婦のようだと」
「―!」
香花の眼が零れ落ちそうなほど大きく見開かれた。
「あなたは―どうして私たちのことをそこまで知っているのですか?」
夫人の口ぶりで、明らかに香花と光王について身許を探らせたことが判る。
「あなたの真のお兄さんではないのね?」
そう指摘された途端、我知らず頬が赤らんだ。駄目だ、光王とのことを口にされただけで、鼓動がこんなにも速まり、身体が熱くなる。
落ち着きなさい、落ち着くのよ。自分に言い聞かせながらも、体温はどんどん上昇してゆく。心ノ臓が煩いほど跳ね上がり、その音が理蓮にも聞かれてしまうのではないかと思うほどだ。
