月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第17章 夢の終わり
と、香花は妙な音に気付いた。少し後ろから、脚音が付いてくる。香花は立ち止まり、全神経を耳に集中させた。明らかに、誰かが自分の後をつけてきている。
そう思うと、得体の知れぬ恐怖が湧き上がり、膚かが粟立った。香花は脚を速めた。すると、後ろからついてくる脚音も速くなる。すっかり怖くなり、香花は全速力で駆けた。
彼女がひた走り始めるやいなや、追跡者も速度を上げ、ピタリと後を付いてくる。
―どうしよう。
ソロン村まで続くのはこの道だけで、生憎と一本道だ。途中で枝分かれした細道がないわけでもないが、迂闊に細い道に入れば、更に相手に袋小路に追いつめられる可能性もある。
走りに走った香花は、途中で樹の根っこに足を取られた。幾本もの樹が網の目のように重なり合って複雑に絡まり合っていて、それが地上に浮き上がっているのだ。
香花の身体が傾ぎ、彼女は前のめりになって派手に転んだ。弾みでチマが汚れてしまったが、そんなことに頓着していられない。
そう思うと、得体の知れぬ恐怖が湧き上がり、膚かが粟立った。香花は脚を速めた。すると、後ろからついてくる脚音も速くなる。すっかり怖くなり、香花は全速力で駆けた。
彼女がひた走り始めるやいなや、追跡者も速度を上げ、ピタリと後を付いてくる。
―どうしよう。
ソロン村まで続くのはこの道だけで、生憎と一本道だ。途中で枝分かれした細道がないわけでもないが、迂闊に細い道に入れば、更に相手に袋小路に追いつめられる可能性もある。
走りに走った香花は、途中で樹の根っこに足を取られた。幾本もの樹が網の目のように重なり合って複雑に絡まり合っていて、それが地上に浮き上がっているのだ。
香花の身体が傾ぎ、彼女は前のめりになって派手に転んだ。弾みでチマが汚れてしまったが、そんなことに頓着していられない。