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月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】

第17章 夢の終わり

 どこに隠していたものか、用意周到にも、立派な輿を担いだ男たちが現れる。最初の二人の男は手早く香花の実の動きを封じた。猿轡をかまされ、手脚も縛られた状態の香花は、そのまま輿に放り込まれた。
 輿が物凄い速さで動き出す。閉じ込められた香花は無駄な抵抗と知りながら、懸命に手脚を動かそうとしてみるが、微動だにできなかった。
―光王、光王ーッ。
 香花は逃げ出そうとするのにも疲れ果て、やがて、ゆっくりと意識を手放した。
  

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