
月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第17章 夢の終わり
今、この瞬間、香花の想いはあの男―光王ただ一人に向かって流れている。
光王に逢いたい。
あの深い蠱惑的な光を宿したまなざしに見つめられ、逞しい腕に抱きしめられたい。
いざ光王がそんなことをすれば、逃げ腰になってしまうのに、離れているせいで大胆になっているのだろうか。今はただ、光王がひたすら恋しかった。
香花は身動きの取れないまま、小窓からかいま見える夜空を眺め続けた。いかほど経っただろう、ハッと我に返った時、夜の闇はいっそう深くなっていた。もう真夜中近いのかもしれない。
たいした刻ではないと思っていたが、かなりの長い時間、ボウとしていたようだ。
その時、低い囁き声が聞こえた―ような気がした。
「―香花、香花」
光王のことばかり考えているので、幻聴でも聞こえたのだろうか。それとも、空腹のせいで、空耳が?
光王に逢いたい。
あの深い蠱惑的な光を宿したまなざしに見つめられ、逞しい腕に抱きしめられたい。
いざ光王がそんなことをすれば、逃げ腰になってしまうのに、離れているせいで大胆になっているのだろうか。今はただ、光王がひたすら恋しかった。
香花は身動きの取れないまま、小窓からかいま見える夜空を眺め続けた。いかほど経っただろう、ハッと我に返った時、夜の闇はいっそう深くなっていた。もう真夜中近いのかもしれない。
たいした刻ではないと思っていたが、かなりの長い時間、ボウとしていたようだ。
その時、低い囁き声が聞こえた―ような気がした。
「―香花、香花」
光王のことばかり考えているので、幻聴でも聞こえたのだろうか。それとも、空腹のせいで、空耳が?
