
月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第17章 夢の終わり
香花が姿を消してから、理蓮は再び沈み込むことが多くなった。そんな妻を案じ、良人は暇を見ては役所から屋敷に戻り、妻と一緒に過ごすようにしている。
理蓮にも既に判っていた。
あの香花という娘が本当は亡くなった素花ではないことも。二年前に亡くなった素花はもう二度と帰ってこないことも。
「理蓮」
名を呼ばれ、理蓮はゆるゆると振り返る。
良人の徳義が県監の制服を着たまま、背後に立っている。また忙しい執務の合間を縫って、様子を見に帰ってきたのだろう。
「あなた、帰っていらしたのですね」
理蓮は微笑んだ。
「もう、これからは無理をなさらないで下さい。私のことなら、ご心配なさらずとも、大丈夫ですから」
二人の前で、薄紅色の薔薇が秋風に揺れている。かつて娘がこよなく愛した花たち。
たくさんある薔薇は次から次へと咲くが、そろそろ花期も終わりに近づきつつある。
理蓮にも既に判っていた。
あの香花という娘が本当は亡くなった素花ではないことも。二年前に亡くなった素花はもう二度と帰ってこないことも。
「理蓮」
名を呼ばれ、理蓮はゆるゆると振り返る。
良人の徳義が県監の制服を着たまま、背後に立っている。また忙しい執務の合間を縫って、様子を見に帰ってきたのだろう。
「あなた、帰っていらしたのですね」
理蓮は微笑んだ。
「もう、これからは無理をなさらないで下さい。私のことなら、ご心配なさらずとも、大丈夫ですから」
二人の前で、薄紅色の薔薇が秋風に揺れている。かつて娘がこよなく愛した花たち。
たくさんある薔薇は次から次へと咲くが、そろそろ花期も終わりに近づきつつある。
