
月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第17章 夢の終わり
光王はこのひと月間、仕事をずっと休んで、香花の護衛役を務めてきたのだ。
―仕事をしなくても良いの?
訊ねる香花に、〝少しくらいなら、遊んで暮らせるだけの蓄えくらい俺にだってあるさ〟と、のんびりと応えたのである。
場合によっては、光王は香花を連れて、どこかに身を隠すつもりでいたらしい。理蓮があくまでも香花を取り戻そうとするつもりなら、この世の果てまでも香花を連れて逃げてやるとも言った。
だが、結局、それは杞憂に終わった。
香花は、そのことが理蓮の心で何かの変化があったからだ―と信じたかった。
そう光王に告げると、彼は呆れたように言ったものだ。
―お前はつくづく人が好いな。
しかし、それ以上は何も言わず、香花の髪をいつものようにくしゃくしゃになるほど引っかき回した。
―仕事をしなくても良いの?
訊ねる香花に、〝少しくらいなら、遊んで暮らせるだけの蓄えくらい俺にだってあるさ〟と、のんびりと応えたのである。
場合によっては、光王は香花を連れて、どこかに身を隠すつもりでいたらしい。理蓮があくまでも香花を取り戻そうとするつもりなら、この世の果てまでも香花を連れて逃げてやるとも言った。
だが、結局、それは杞憂に終わった。
香花は、そのことが理蓮の心で何かの変化があったからだ―と信じたかった。
そう光王に告げると、彼は呆れたように言ったものだ。
―お前はつくづく人が好いな。
しかし、それ以上は何も言わず、香花の髪をいつものようにくしゃくしゃになるほど引っかき回した。
