月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第18章 第5話【半月】・疑惑
香花は元々、両班(ヤンバン)の令嬢であったが、実家の金(キム)氏は香花を残して跡継は誰もおらず、最早、家門は絶える寸前であった。その没落してしまった家門を何とか立て直したい一心で、香花は承旨(スンジ)をしていた崔(チェ)明善(ミヨンソン)の屋敷に奉公することになった。明善と亡き夫人との間の二人の幼い子どもたちの家庭教師として雇われたのである。
それが生涯をかけての烈しい恋の始まりになるとは、その時、香花自身ですら想像さえしていなかった。明善はかつて左議政陳相成(チヤイジヨンソンサンソン)に愛する妻を辱められた。妻はそれを苦にして、自ら縊死するというあまりにも重い過去を背負っていた。
明善は亡き妻の恨みを晴らすため、相成が企てた謀反に連座したと見せかけ、逆に国王にその企みを密告した。事前に知らせたとはいえ、王の秘書官ともいえる官職である承旨でありながら、謀反に荷担した罪は重かった。明善は王の烈しい怒りに触れ、処刑されてしまう。
それが生涯をかけての烈しい恋の始まりになるとは、その時、香花自身ですら想像さえしていなかった。明善はかつて左議政陳相成(チヤイジヨンソンサンソン)に愛する妻を辱められた。妻はそれを苦にして、自ら縊死するというあまりにも重い過去を背負っていた。
明善は亡き妻の恨みを晴らすため、相成が企てた謀反に連座したと見せかけ、逆に国王にその企みを密告した。事前に知らせたとはいえ、王の秘書官ともいえる官職である承旨でありながら、謀反に荷担した罪は重かった。明善は王の烈しい怒りに触れ、処刑されてしまう。