月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第18章 第5話【半月】・疑惑
かつて都を騒がせていた〝天下の大盗賊光王(カンワン)〟とは、その頃、知り合った。光王も香花も互いに忘れ得ぬ恋人の面影を抱えたまま、二人は次第に惹かれ合う。光王は香花を連れ、都からはるか離れたこの地方の町までやって来た。香花を亡き明善との辛い想い出の多い都からしばらく離れて暮らさせてやるためだった。
そこで、二人はやがて自分たちが想い合っていることを確認し合う。この町は漢(ハ)陽(ニヤン)にははるかに及ばないが、そこそこ発展した中規模どころの地方都市である。流石に賑わう町には住めないと、光王は町から徒歩(かち)で四半刻ほど離れた近隣の村を落ち着き先に選んだ。
光王は昔、両班や富豪だけを狙って盗みに入る盗賊団〝光の王〟の頭領だった。彼らが標的にするのは、貧しい民から不当に搾取して民衆を苦しめる奴らばかり。また光王はそういった連中をひそかに抹殺する手練れの暗殺者でもあった。むろん、義(ウィ)禁(グム)府(フ)の役人たちからは眼の色変えて追いかけられている天下の大罪人であったのである。
そこで、二人はやがて自分たちが想い合っていることを確認し合う。この町は漢(ハ)陽(ニヤン)にははるかに及ばないが、そこそこ発展した中規模どころの地方都市である。流石に賑わう町には住めないと、光王は町から徒歩(かち)で四半刻ほど離れた近隣の村を落ち着き先に選んだ。
光王は昔、両班や富豪だけを狙って盗みに入る盗賊団〝光の王〟の頭領だった。彼らが標的にするのは、貧しい民から不当に搾取して民衆を苦しめる奴らばかり。また光王はそういった連中をひそかに抹殺する手練れの暗殺者でもあった。むろん、義(ウィ)禁(グム)府(フ)の役人たちからは眼の色変えて追いかけられている天下の大罪人であったのである。