
月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第18章 第5話【半月】・疑惑
考えてみれば、切れ者の光王が町の人たちの動向に気付いていなかったとは思えず、知っていても香花に伝えなかったのだろう。むろん、光王なりの考えがあって―恐らくは香花に要らぬ心配をさせまいとしてのことだろうから、それをとやかく言うつもりもないし、むしろ非は思い至らなかった香花にあるのだ。
自分はともかく、光王はその正体が知れれば、即刻捕らえられ処刑される天下の大罪人なのだ。もう少し、行動には慎重さを期した方が良い。
あの内儀に他意があっての言葉だとは到底思えない。言葉どおり、無用の詮索などする気はさらさらないに違いない。香花の誠実できちんとした仕事ぶりを評価してくれて、いつも良い仕事を紹介してくれるし、仕立賃も余分にくれるのだ。それどころか、たまには余った布を―古いから、傷があるから商売物にならないとかで―分けてくれさえもする。
そのお陰で、染めにムラが出たりしていても、その他は何の難もなく、見たところ品も良い布で光王の衣服を仕立てることができる。
自分はともかく、光王はその正体が知れれば、即刻捕らえられ処刑される天下の大罪人なのだ。もう少し、行動には慎重さを期した方が良い。
あの内儀に他意があっての言葉だとは到底思えない。言葉どおり、無用の詮索などする気はさらさらないに違いない。香花の誠実できちんとした仕事ぶりを評価してくれて、いつも良い仕事を紹介してくれるし、仕立賃も余分にくれるのだ。それどころか、たまには余った布を―古いから、傷があるから商売物にならないとかで―分けてくれさえもする。
そのお陰で、染めにムラが出たりしていても、その他は何の難もなく、見たところ品も良い布で光王の衣服を仕立てることができる。
