
月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第18章 第5話【半月】・疑惑
それでも、町の人たちが自分たちをそんな風に見ていたかと思うと、気分が塞ぐのはいかんともしがたかった。兄妹に見えなかったことに衝撃を受けたのではない。それに気付きもせず、自分たちはどこまでいっても兄妹になりきっていると思い込んでいた自分自身の甘さが厭わしかったのだ。
想いに沈みながら香花が歩いていると、ふいに横から声が飛んできた。
「香花」
香花は弾かれたように面を上げる。
その視線の先に、見慣れた笑顔があった。この顔もここに来て知り合った大勢の人々の中の一人である。
想いに沈みながら香花が歩いていると、ふいに横から声が飛んできた。
「香花」
香花は弾かれたように面を上げる。
その視線の先に、見慣れた笑顔があった。この顔もここに来て知り合った大勢の人々の中の一人である。
