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「おいおい、何を泣いとるんだ。グムチョンは口は軽いが、性悪女じゃない。何も含むところがあって、お前にそんな話をしたわけじゃないと思うぞ」
　とりなすように言うのに、香花は頷いた。
「私だって、それくらい判ってる。おかみさんは良い人よ。いつだって、私によくしてくれるもの」
　それでも、涙は止まらない。店の前を通り過ぎてゆく通行人が涙を流す香花をちらちらと眺めていく。
　シニョンが笑った。
「お前が泣いてるところをそれこそあの兄貴が見れば、儂は何で大切な妹を泣かせたとあいつに殴り倒される。だから、もう泣くのは止めなさい」
　シニョンは再びお気に入りの煙管をふかしながら、のんびりとした様子で話す。
「グムチョンの言いたかったことは、儂は何となく判る。グムチョンの店にお前が届けたのは両班の娘の婚礼衣裳だったのだろう？」