
月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第18章 第5話【半月】・疑惑
そんな香花に、シニョンがふと思い出したように言った。
「ところで、香花。どうも、光王のことを色々と訊ね回っている男がいるようだぞ」
「それは、どういうこと?」
またしても予期せぬひと言だった。折角、笑顔の戻った香花の面が曇る。
「都から来た人間らしいな。儂も人づてに聞いただけで、実際、その男に逢ったわけではないから、何とも言えんが、どうやら、光王の身許をあれこれと嗅ぎ回っているとか言ってたな」
―都から来た人間。その言葉に、香花の膚が総毛立った。
まさか、光王を〝盗賊光王〟と知る者が光王を捕らえにきたとでもいうのだろうか? しかし、都の役人であれば、そのように一人でこそこそと調べ回るはずはない。
いずれにしても、人眼をはばかるようにして暮らす光王にとっては良い知らせとは思えなかった。
「ところで、香花。どうも、光王のことを色々と訊ね回っている男がいるようだぞ」
「それは、どういうこと?」
またしても予期せぬひと言だった。折角、笑顔の戻った香花の面が曇る。
「都から来た人間らしいな。儂も人づてに聞いただけで、実際、その男に逢ったわけではないから、何とも言えんが、どうやら、光王の身許をあれこれと嗅ぎ回っているとか言ってたな」
―都から来た人間。その言葉に、香花の膚が総毛立った。
まさか、光王を〝盗賊光王〟と知る者が光王を捕らえにきたとでもいうのだろうか? しかし、都の役人であれば、そのように一人でこそこそと調べ回るはずはない。
いずれにしても、人眼をはばかるようにして暮らす光王にとっては良い知らせとは思えなかった。
