月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第18章 第5話【半月】・疑惑
心なしか食欲もあまりないようだ。
「お代わりは?」
香花が訊ねても、光王は黙って首を振るだけだ。
本当なら、こんなときに難しい話はしたくなかったれけれど、そういうわけにはゆかない。町で出逢ったあの男―いかにも身分のありそうな両班についてだけは話しておかなければ。
香花は床についた片膝の上で組み合わせた両手に力を込めた。
「―光王」
光王が緩慢な動作で視線を向ける。
香花は遠慮がちに言葉を選んだ。
「実は、今日、町に行ってきたの」
グムチョンの店に仕上がった婚礼衣装を届けにいってきたのだと説明した後で、シニョン老人の店にも立ち寄ったことも話した。
「お爺ちゃんの店で、嫌な話を聞いたのよ」
シニョンから聞かされた両班の話へと続ける。
その間中、光王は何も余計な口は差し挟まず、うつむいていた。
「お代わりは?」
香花が訊ねても、光王は黙って首を振るだけだ。
本当なら、こんなときに難しい話はしたくなかったれけれど、そういうわけにはゆかない。町で出逢ったあの男―いかにも身分のありそうな両班についてだけは話しておかなければ。
香花は床についた片膝の上で組み合わせた両手に力を込めた。
「―光王」
光王が緩慢な動作で視線を向ける。
香花は遠慮がちに言葉を選んだ。
「実は、今日、町に行ってきたの」
グムチョンの店に仕上がった婚礼衣装を届けにいってきたのだと説明した後で、シニョン老人の店にも立ち寄ったことも話した。
「お爺ちゃんの店で、嫌な話を聞いたのよ」
シニョンから聞かされた両班の話へと続ける。
その間中、光王は何も余計な口は差し挟まず、うつむいていた。