月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第19章 訪問者
短い危うさを孕んだ沈黙があった。
ややあって、低い笑い声が響き渡り、その剣呑な沈黙を破った。
「いや、若いのに、なかなか度胸の据わったお嬢さんだ。娘さん、あなたは村娘のなりをしているが、両班の息女だね? その堂々とした態度や品のある物腰は、紛れもなく両班の大切に育てられた娘のものだ。光王と両班の令嬢がどうやって知り合い、何故、二人だけでここまで逃れなければならなかったのか、私は大いに興味があるのだが、その理由を私に話してはくれないか」
香花は男を見つめたまま、首を振った。
「残念ですが、そのご質問にはお応えできかねます。あなたさまがどこのどなたか、何ゆえ、光王の身許を探ろうとなさるのかをお話しになって下さらない限り、私もこれ以上のことをどこのどなたとも知れぬお方にお話しするわけにはゆかないのです」
ややあって、低い笑い声が響き渡り、その剣呑な沈黙を破った。
「いや、若いのに、なかなか度胸の据わったお嬢さんだ。娘さん、あなたは村娘のなりをしているが、両班の息女だね? その堂々とした態度や品のある物腰は、紛れもなく両班の大切に育てられた娘のものだ。光王と両班の令嬢がどうやって知り合い、何故、二人だけでここまで逃れなければならなかったのか、私は大いに興味があるのだが、その理由を私に話してはくれないか」
香花は男を見つめたまま、首を振った。
「残念ですが、そのご質問にはお応えできかねます。あなたさまがどこのどなたか、何ゆえ、光王の身許を探ろうとなさるのかをお話しになって下さらない限り、私もこれ以上のことをどこのどなたとも知れぬお方にお話しするわけにはゆかないのです」