月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第19章 訪問者
「もしや光王とそなたは慕い合っているのかね。町の者の中には、そなたが光王の婚約者だと言った者もいた」
その問いに、香花の動きが束の間、止まった。
「―いいえ」
短く応え、香花はその質問を否定した。
そのときだった。
表でチリリと鈴が鳴る。鍋を覗き込んでいた香花がふと顔を上げた。
「帰ってきたようです」
出迎えようと脚を踏み出したのと、両開きの扉が開いたのはほぼ同時だった。
視線がふいの客を捉えたその刹那、光王が眉をつり上げた。
「手前―、何しに来やがった」
その反応は、香花にとっては予期せぬものだった。
光王はこの男を知っている?
その問いに、香花の動きが束の間、止まった。
「―いいえ」
短く応え、香花はその質問を否定した。
そのときだった。
表でチリリと鈴が鳴る。鍋を覗き込んでいた香花がふと顔を上げた。
「帰ってきたようです」
出迎えようと脚を踏み出したのと、両開きの扉が開いたのはほぼ同時だった。
視線がふいの客を捉えたその刹那、光王が眉をつり上げた。
「手前―、何しに来やがった」
その反応は、香花にとっては予期せぬものだった。
光王はこの男を知っている?
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