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　それが〝息子の大切な嫁〟という言葉を指すのだとは、すぐに判った。
　香花は、この問いには即座に〝いいえ〟と応えた。
「お気を悪くなさらないで頂きたいのですが」
　香花は前置きをした上で、光王の父に言った。
「やはり、よく似ていらっしゃいますね」
　その言葉に、父親は意外そうに眼をまたたかせた。
「似ている？　―それは、私と光王のことか？」
　香花は頷いた。
「さようでございます。実は、初めて町でお見かけしたときも、あなたさまが光王にとてもよく似ておられるので、愕いたのです。あのときは他人の空似かと思ったのですが、血を分けた親子だと知り、納得しました」
「その言葉を私は歓んで良いものかどうか」
　そう呟く男の横顔はひどく淋しげだ。
　香花は先刻、一心に観音像に祈りを捧げていた男の後ろ姿を思い出していた。まるで、孤独の影が滲み出ているように見えた。