月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第20章 父と子
「あら、朝、光王が出かけるときに言ったでしょ。マンアンの家まで卵を届けに行くって」
「そうだったな」
と、これも心ここにあらずといった体で頷く。
香花はわざと明るい口調で言った。
「そういう光王の方こそ、どうしたの? まだお昼になったばかりなのに、帰ってくるなんて」
「今日はもう町には行かない。商売は休みだ」
光王が半ば自棄のように言い、それから、うーんとかけ声をかけながら両手を天に向かって突き出し背伸びする。
「ま、たまには、家でのんびりとするのも悪くはないと思ってさ。ついでに、恋女房の顔もゆっくりと拝めるしな」
揶揄するように言うのに、香花は頬を赤らめた。
「光王、前から言おうと思ってたんだけど、その〝女房〟って呼ぶのは止めてよね。特に人前で言うのは止めて欲しいの。まだ、婚礼を挙げたわけでもないのに」
「そうだったな」
と、これも心ここにあらずといった体で頷く。
香花はわざと明るい口調で言った。
「そういう光王の方こそ、どうしたの? まだお昼になったばかりなのに、帰ってくるなんて」
「今日はもう町には行かない。商売は休みだ」
光王が半ば自棄のように言い、それから、うーんとかけ声をかけながら両手を天に向かって突き出し背伸びする。
「ま、たまには、家でのんびりとするのも悪くはないと思ってさ。ついでに、恋女房の顔もゆっくりと拝めるしな」
揶揄するように言うのに、香花は頬を赤らめた。
「光王、前から言おうと思ってたんだけど、その〝女房〟って呼ぶのは止めてよね。特に人前で言うのは止めて欲しいの。まだ、婚礼を挙げたわけでもないのに」