月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第20章 父と子
「異国に一人で流れ着いた若い娘のゆく末がどんなものか、お前にだって察しはつくだろう。婆さんを助けたのは何とかいう小さな漁村の漁師だったが、直に、物珍しさに人から人へと売られる羽目になっちまった」
最終的にその少女は都漢陽に連れられてゆき、そこで妓生となった。その妓楼こそが、光王の母もいたという見世だった。
朝鮮人の父を持つ光王はそれでもまだ、〝異様人に見えないこともない〟という風貌だが、その祖母は紛うことなき異様人であった。当時、蒼い眼、金髪の若い女がこの国の人々にどれほど珍しく映じたかは想像に難くない。
恐らく、あまり考えたくはないが、彼女と褥を共にする男たちは、見せ物小屋の珍しい異国の獣と交わるくらいにしか考えていなかったろう。同じ国の民であっても、両班から見れば賤民は〝獣以下〟の存在だと卑しまれる対象なのだ。ましてや、自分たちと全く眼の色、髪の色が違う外国人をどれだけ蔑みを込めた眼で眺めていたかは知れるというものである。
最終的にその少女は都漢陽に連れられてゆき、そこで妓生となった。その妓楼こそが、光王の母もいたという見世だった。
朝鮮人の父を持つ光王はそれでもまだ、〝異様人に見えないこともない〟という風貌だが、その祖母は紛うことなき異様人であった。当時、蒼い眼、金髪の若い女がこの国の人々にどれほど珍しく映じたかは想像に難くない。
恐らく、あまり考えたくはないが、彼女と褥を共にする男たちは、見せ物小屋の珍しい異国の獣と交わるくらいにしか考えていなかったろう。同じ国の民であっても、両班から見れば賤民は〝獣以下〟の存在だと卑しまれる対象なのだ。ましてや、自分たちと全く眼の色、髪の色が違う外国人をどれだけ蔑みを込めた眼で眺めていたかは知れるというものである。