
月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第21章 月下にひらく花
香花は滲んできた涙をまたたきで散らし、無理に微笑みを作った。上手く微笑むことができているかどうか自信はなかったけれど、泣き顔だけは見せてはいけないと自分を強く戒める。
「おめでとうって言わなきゃね。光王がいなくなったら淋しくなるけれど、私もこの村で頑張って生きてゆくわ。仕立物の内職だけでなく、ゆくゆくは村の子どもたちを集めて、塾を開き先生として教えようと考えているの」
それは満更、嘘ではなかった。
―私はこの地球儀を見ていると、つくづく空しくなってくるのだ。何故、同じ人が人を差別するような制度を作るのだろうか。狭い国土で同じ国の民同士がいつまでも私利私欲の闘いを続けていれば、いずれ国は滅びるよ。
―人が人を区別せず、万民がおしなべて平等だという考えは魅力的だ。
「おめでとうって言わなきゃね。光王がいなくなったら淋しくなるけれど、私もこの村で頑張って生きてゆくわ。仕立物の内職だけでなく、ゆくゆくは村の子どもたちを集めて、塾を開き先生として教えようと考えているの」
それは満更、嘘ではなかった。
―私はこの地球儀を見ていると、つくづく空しくなってくるのだ。何故、同じ人が人を差別するような制度を作るのだろうか。狭い国土で同じ国の民同士がいつまでも私利私欲の闘いを続けていれば、いずれ国は滅びるよ。
―人が人を区別せず、万民がおしなべて平等だという考えは魅力的だ。
