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　それでなくとも、光王は庶出―、つまり立場的には妾の子となる。それも長らく市井で育ち、母親は世間から蔑まれる妓生だ。途中からいきなり後嗣として迎えられる幸運に浴したものの、成家の人々が皆、彼の父真悦のように心から歓迎してくれるとは限らない。
　屋敷には真悦の妻、かつて光王の母ヨンウォルを蹴落とした奥方もいるのだ。今回、光王が跡継として迎えられるのは、奥方の生んだ長男が若くして病死したためだ。言わば、奥方の不幸が光王の幸運に繋がったわけだ。それを慮れば、むしろ彼への風当たりは強いと考えていた方が良い。
　まだしも光王が力のある家門の娘を妻に迎えれば、状況は違ってくる。光王の妻が真悦の妻の実家を凌ぐ家門の出であれば、義理の母となる奥方も光王に必要以上に強く出ることもできないはずだ。何故なら、言わずもがな、光王の妻の里方が娘聟である光王の後見となり、睨みをきかせるからである。