月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第21章 月下にひらく花
光王は自分でも照れ臭かったのか、いつになく紅くなって、そっぽを向いた。
その様子に、香花は思わず吹き出す。
「何がおかしいんだよ、人が真剣に求婚してるのに」
どうも、香花に笑われたことに光王はご立腹のようだ。
ふいに、香花は真顔になった。彼からの求愛に応える前に、一つだけ、はっきりさせておかねばならないことがある。
「あの女(ひと)のことは、もう良いの?」
途端に、光王の顔に訝しげな表情が浮かぶ。その美麗な面には〝一体、何のことを言っているんだ?〟と書いてあった。
だが、勘の良い彼のことだ、すぐに香花の意図を察したらしい。
「そうだな、確かに俺には忘れられなかった女がいた」
光王が意識しているのどうかまでは判らないが、彼の言葉は事実を認めてはいても、過去形を示していた。
その様子に、香花は思わず吹き出す。
「何がおかしいんだよ、人が真剣に求婚してるのに」
どうも、香花に笑われたことに光王はご立腹のようだ。
ふいに、香花は真顔になった。彼からの求愛に応える前に、一つだけ、はっきりさせておかねばならないことがある。
「あの女(ひと)のことは、もう良いの?」
途端に、光王の顔に訝しげな表情が浮かぶ。その美麗な面には〝一体、何のことを言っているんだ?〟と書いてあった。
だが、勘の良い彼のことだ、すぐに香花の意図を察したらしい。
「そうだな、確かに俺には忘れられなかった女がいた」
光王が意識しているのどうかまでは判らないが、彼の言葉は事実を認めてはいても、過去形を示していた。