月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第21章 月下にひらく花
香花が吐息混じりに言うと、光王は笑った。
「お前のようなお嬢さんには、同じこの世の出来事だとは思えないだろうよ。だが、この世には、表の世界と裏の世界があるっていうのは事実だ。丁度、光があれば、必ず闇が存在するように」
香花にめぐり逢うまで、その闇の世界でこの男―光王はずっと生きてきたのだ。
「だがな、清花自身は、全く普通の娘だったんだ。王が―自分がひと言命じれば、女なぞ皆、歓んで身体を投げ出すと思い上がっている身勝手な男が清花の生涯を狂わせたんだよ。重くて暗い過去を抱えて復讐に生きると決めていたが、それ以外は、至って平凡な娘で、眼の離せないところや自分より他人のことばかり心配していたお人好しのところがお前とそっくりだ」
光王が思い出したように笑いを洩らす。
「そんなに好きな女がいるなら、想いを伝えなかったの?」
「お前のようなお嬢さんには、同じこの世の出来事だとは思えないだろうよ。だが、この世には、表の世界と裏の世界があるっていうのは事実だ。丁度、光があれば、必ず闇が存在するように」
香花にめぐり逢うまで、その闇の世界でこの男―光王はずっと生きてきたのだ。
「だがな、清花自身は、全く普通の娘だったんだ。王が―自分がひと言命じれば、女なぞ皆、歓んで身体を投げ出すと思い上がっている身勝手な男が清花の生涯を狂わせたんだよ。重くて暗い過去を抱えて復讐に生きると決めていたが、それ以外は、至って平凡な娘で、眼の離せないところや自分より他人のことばかり心配していたお人好しのところがお前とそっくりだ」
光王が思い出したように笑いを洩らす。
「そんなに好きな女がいるなら、想いを伝えなかったの?」