月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第21章 月下にひらく花
光王がふいに悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「むろん、伝えたさ」
束の間の沈黙。もう終わった恋だと光王本人から告げられているのに、つい胸がどきりとしてしまう。
短い静寂は光王の明るいひと声によって終わった。
「でも、これももちろん、玉砕」
「え―」
眼を見開く香花に、光王が晴れやかな顔で笑った。
「俺はフラレたんだ。だから、今し方も言っただろう? 清花には、彼女を生命賭けで守ろうとした内官しかいなかったと」
遠くを見るようだった光王のまなざしがはたと香花に向けられる。
「フラレた直後は、結構落ち込んだもんだぜ。もう二度と女を愛さない、愛せないと思っていたのに、香花にめぐり逢って、また、惚れた女と一緒に生きてゆくのも悪くはないと思うようになった。一人の女を守って幸せにしてやりたいと思うようになれたのは、お前のお陰だ」
「むろん、伝えたさ」
束の間の沈黙。もう終わった恋だと光王本人から告げられているのに、つい胸がどきりとしてしまう。
短い静寂は光王の明るいひと声によって終わった。
「でも、これももちろん、玉砕」
「え―」
眼を見開く香花に、光王が晴れやかな顔で笑った。
「俺はフラレたんだ。だから、今し方も言っただろう? 清花には、彼女を生命賭けで守ろうとした内官しかいなかったと」
遠くを見るようだった光王のまなざしがはたと香花に向けられる。
「フラレた直後は、結構落ち込んだもんだぜ。もう二度と女を愛さない、愛せないと思っていたのに、香花にめぐり逢って、また、惚れた女と一緒に生きてゆくのも悪くはないと思うようになった。一人の女を守って幸せにしてやりたいと思うようになれたのは、お前のお陰だ」