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月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】

第21章 月下にひらく花

 首筋に唇を寄せていた光王がちょっとした悪戯心を起こしたのか、突然、香花の胸の薄桃色の先端を軽く噛んだ。
「あっ―」
 思わず甘い喘ぎを洩らしそうになった彼女の唇が彼の熱い唇で覆われる。
 烈しく絡まり合う二つの影が揺れる扉の向こうには、月下にひろがる秋桜畑がひろがっている。真昼間の陽光のもとでは無邪気で屈託ない少女のように見える花が月光に抱かれて、銀色に染まり妖しく輝いていた。

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