月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第21章 月下にひらく花
その年の秋、光王と香花の婚礼が簡素に行われた。二人が初めて結ばれた満月の夜から半月ほど後のことである。
式は二人の暮らす家で挙げられ、村長の媒酌で固めの杯が交わされた。初々しい新婦は十六歳。顔は小作りに整い、華奢な身体はたおやかで、まさに月下に開いた一輪の花のように儚げな風情である。
輝石を織り込んだ薄紅色の絹の花嫁衣装は、今日の主役である花嫁自身が手ずから縫い上げたものだ。その衣裳を纏った新婦が身動きする度に、布に織り込まれた玉がきらめきを放ち、あたかも虹を纏っているかのようだ。
艶やかな漆黒の髪は昨日までとは異なり、成人した証として後頭部の低い位置で結い上げ、珊瑚の簪を挿している。これは、むろん、光王が香花に贈ったものだ。小粒の珊瑚が紫陽花を象り、翡翠の葉がついている。
式は二人の暮らす家で挙げられ、村長の媒酌で固めの杯が交わされた。初々しい新婦は十六歳。顔は小作りに整い、華奢な身体はたおやかで、まさに月下に開いた一輪の花のように儚げな風情である。
輝石を織り込んだ薄紅色の絹の花嫁衣装は、今日の主役である花嫁自身が手ずから縫い上げたものだ。その衣裳を纏った新婦が身動きする度に、布に織り込まれた玉がきらめきを放ち、あたかも虹を纏っているかのようだ。
艶やかな漆黒の髪は昨日までとは異なり、成人した証として後頭部の低い位置で結い上げ、珊瑚の簪を挿している。これは、むろん、光王が香花に贈ったものだ。小粒の珊瑚が紫陽花を象り、翡翠の葉がついている。