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月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】

第21章 月下にひらく花

 盃事、夫婦の誓い、拝礼とすべてが型どおり終わった後、媒酌人である村長がその場に集まった一同を見回し、厳かに告げた。
「そなたらは、これで夫婦となった。これからは、いかなることがあっても、互いを敬い合い、助け合って末永く睦まじく暮らすように」
 それを合図とするるかのように、集った村の面々がどっと沸き、賑やかに宴会が始まる。普段は貧しい村の人々もこの日だけは酒やご馳走を持ち寄り、歌い踊り、めでたさに酔いしれるのだ。
「―綺麗だ」
 自分たちを祝福してくれるために集まった村人たちを眺めながら、光王が常になく真剣な表情で優しげに囁く。

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