テキストサイズ

月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】

第22章 第6話【漢陽(ハニャン)の春】・再会

 香花は言葉もなく、小さく頷いた。
 婚礼を挙げたばかりで、自分はまだ子どもを生むとか、親になるといったことへの実感はない。けれど、十月(とつき)十(と)日(おか)、胎内で大切に育て、苦労して生み落とした我が子が既に亡くなっていた―というのは、香花も女の身であれば、いかほど哀しかろうと察しはつく。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ