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月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】

第22章 第6話【漢陽(ハニャン)の春】・再会

「かえって哀しいことを思い出させてしまったようで、申し訳ございません」
 香花が詫びると、香丹は淋しげな笑みを浮かべた。
「良いのですよ。直に、そなたにも子ができるでしょう。ヘリョンの懐妊も待ち遠しいことですが、香花。私は、あなたの懐妊も一日千秋の想いで待っているのですよ。そなたは、まずは成家の世継を生まねばなりませんが、一人だけではなく、できるだけたくさんの子を生んで貰わねばなりません。できれば、続けて男の子が良いわね。二人目のお子は是非、金家に頂かなくては。そなたが成家に嫁した今、金氏を継ぐ者はいなくなってしまったのですもの」
 その最後の科白に、香花は肩を震わせた。
「ごめんなさい、叔母上さま。私、叔母上さまに必ず我が家を再興するとお約束したのに」
 香丹は慌てて首を振る。

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