
月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第22章 第6話【漢陽(ハニャン)の春】・再会
「嫁いだ娘の許に母が頻繁に訪れていたのでは、聟君のお母上がけして良くは思し召さないでしょう。それと同じ理屈ですよ、香花。私はそなたを実の娘と同様に思っているからこそ、たとえ顔を見たくても、我慢することにします。嫁いだばかりのそなたは、まずこの家の家風に馴染まねばなりません。私が来たことで里心がついたのでは、かえって顔を見せなかった方が良かったということにもなりかねませんからね。そのつもりで、実の両親に尽くすように、お義父上、お義母上にお仕えするのですよ」
香花は、うっすらと涙ぐんで頷いた。香丹が袖から手巾を取り出して、その眼許をぬぐってやる。
「おかしいわね。幼いときから、何があっても―姉上や義兄上がお亡くなりになったときでさえ、けして人前では涙を見せなかったそなたが泣くなんて」
香花は、うっすらと涙ぐんで頷いた。香丹が袖から手巾を取り出して、その眼許をぬぐってやる。
「おかしいわね。幼いときから、何があっても―姉上や義兄上がお亡くなりになったときでさえ、けして人前では涙を見せなかったそなたが泣くなんて」
