テキストサイズ

月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】

第22章 第6話【漢陽(ハニャン)の春】・再会

 光王の愛撫が烈しさを増してゆくにつれ、香花の身体に灯った火はたちまちにして大きな焔となって燃え上がり、彼女を包み込む。
―もう、止めて。今は勉強の時間でしょ。
 香花が両手を突っ張って抵抗しても、光王の屈強な身体に抑え込まれては身動きもできない。
―俺がお前のその可愛い唇から聞きたいのは、面白くもない講釈じゃない。
 光王はそう言うなり、香花の唇を塞いだ。そうなると、もう光王を止める手立てはない。到底、学問どころではなく、香花はその夜もいつものように、明け方まで何度も光王に身体を奪われた。
 光王は今、見かけだけではなく、正真正銘の両班になろうとしている。そんな良人に、家庭内のいざこざ―ましてや義理とはいえ、立場上は一応は妙鈴は光王の母に当たるのだ―を告げるわけにはゆかない。彼にとっては今が大切な時期なのだ。良人の歩む道の妨げや学問に集中しようとするその精神を徒に乱したりだけはしたくない。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ