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月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】

第22章 第6話【漢陽(ハニャン)の春】・再会

 こんな時、両班家に産まれ育ったはずなのに、香花は庶民のように夫婦揃って同じ部屋で寛ぎ、いつも一緒にいられるのは羨ましいと思わずにはいられない。夜、臥所を共にするのさえ、どちらかがわざわざ通っていかなければならないのでは、同じ屋根の下で暮らしている意味がないような気がする。
 漸く自分の室に戻った香花は、周囲に人気がないのを確認すると、声を殺して泣いた。

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