月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第23章 揺れる心
若い時分、〝烈人〟と称されたという逸話があるように、歳を経てもなお烈しい気性の持ち主であった。学問の追及のためには寝食すら忘れ果てるほどの学究の徒でもある。光王の教育にも熱心に当たり、手加減は一切なかった。明日までにやっておくようにと言われたところまでできていなければ、容赦なく鞭が飛んでくる。
その分、成家に仕える使用人までもが光王を〝ぽっと出の庶子、成り上がり者〟として半ば蔑みの眼を込めて見つめる中で、この師匠は光王を生まれや育ちで決めつけ差別することはない。この気難しく、いささか偏屈な師匠を光王は嫌いでははない。むしろ、尊敬している。
師匠の屋敷までは輿を使わず、馬で行った。大体、彼は輿などという、いかにもふんぞり返った両班が乗りそうな乗り物は好きではない。仰々しく伴回りの者に囲まれ、〝成家の若さまのお通りである、どけよ、どけよ〟などと通行人を追い立てるようにして天下の往来を行くのだけはご免蒙りたい。
その分、成家に仕える使用人までもが光王を〝ぽっと出の庶子、成り上がり者〟として半ば蔑みの眼を込めて見つめる中で、この師匠は光王を生まれや育ちで決めつけ差別することはない。この気難しく、いささか偏屈な師匠を光王は嫌いでははない。むしろ、尊敬している。
師匠の屋敷までは輿を使わず、馬で行った。大体、彼は輿などという、いかにもふんぞり返った両班が乗りそうな乗り物は好きではない。仰々しく伴回りの者に囲まれ、〝成家の若さまのお通りである、どけよ、どけよ〟などと通行人を追い立てるようにして天下の往来を行くのだけはご免蒙りたい。