月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第24章 交錯する想い
それでも、彩景が来る前は、まだ香花に対して〝光王の妻〟という認識がわずからながらもあったようだが、今では完全に女中扱いだ。それはまだ良い、たとえ妙鈴が嫁として認めずとも、光王が自分を妻だと言ってくれるのなら十分だ。
しかし、ふしだらな女と妓生扱いされるのだけは止めて欲しかった。
―そなたも妻たる自覚があるのならば、妓生のように男の気を引くことばかり考えず、良人が学問に専心できる環境を作るように心がけよ。
彩景も同席した場で、妙鈴から言われたあの科白は、忘れようにも忘れられない。
あの日のことを思い出すと、どうしても気分が沈み込みそうになってしまう。
滲んできた涙に、眼の前がぼやける。
しかし、ふしだらな女と妓生扱いされるのだけは止めて欲しかった。
―そなたも妻たる自覚があるのならば、妓生のように男の気を引くことばかり考えず、良人が学問に専心できる環境を作るように心がけよ。
彩景も同席した場で、妙鈴から言われたあの科白は、忘れようにも忘れられない。
あの日のことを思い出すと、どうしても気分が沈み込みそうになってしまう。
滲んできた涙に、眼の前がぼやける。