月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第24章 交錯する想い
「これだけの扱いを受けているのだから、お前だって、自分がこの屋敷で歓迎されていないのはとっくに判っているでしょう? それなのに、いまだに尻尾を巻いて出てゆこうとしないのは、面の顔が厚いのか、それとも少し頭が鈍いからか―恐らくは、そのどちらかね」
あまりの言われ様に、香花は唇を噛みしめた。何故、自分がこの女にここまで悪し様に罵倒されねばならない?
香花だって、れきとした両班の息女だ。実際には、金氏の娘だと名乗り出れば良いようなものだが、たとえ香花自身がそう主張したところで、妙鈴や彩景が素直に信じるとは到底思えない。成家の嫁の座欲しさに出任せを言った―と、また痛くもない腹を探られるのがオチだ。
「何か言いなさいよ、私の話が聞こえていないはずはないでしょ。それとも、急に黙(だんな)りにでもなったの?」
あまりの言われ様に、香花は唇を噛みしめた。何故、自分がこの女にここまで悪し様に罵倒されねばならない?
香花だって、れきとした両班の息女だ。実際には、金氏の娘だと名乗り出れば良いようなものだが、たとえ香花自身がそう主張したところで、妙鈴や彩景が素直に信じるとは到底思えない。成家の嫁の座欲しさに出任せを言った―と、また痛くもない腹を探られるのがオチだ。
「何か言いなさいよ、私の話が聞こえていないはずはないでしょ。それとも、急に黙(だんな)りにでもなったの?」