月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第24章 交錯する想い
その何げない言葉に、香花はふと違和感を憶えた。彩景が光王との結婚を望むようになった理由は何なのだろう。
光王その人に惹かれたから?
その時、ある疑問が唐突に浮かんだ。
「お嬢さまは何故、若さまをお慕いしているのですか?」
え、と、彩景が眼を見開いた。
「間違っていたら、ごめんなさい。私には、彩景さまが若さまご自身をお慕いしているというより、若さまの上に亡くなられた和真さまの面影を重ねて見ているような気がしてならないのです」
「お、お前ごときが何をっ」
彩景が美しい顔を憤怒の色に染めた。
「彩景さま、本当に欲しいものが手に入らないからといって、よく似た代わりのもので済ませようとするのは止めた方が良いです。出すぎたことを申し上げるのは承知ですが、彩景さまと和真さまは心から慕い合っておられたとお聞きしています。
光王その人に惹かれたから?
その時、ある疑問が唐突に浮かんだ。
「お嬢さまは何故、若さまをお慕いしているのですか?」
え、と、彩景が眼を見開いた。
「間違っていたら、ごめんなさい。私には、彩景さまが若さまご自身をお慕いしているというより、若さまの上に亡くなられた和真さまの面影を重ねて見ているような気がしてならないのです」
「お、お前ごときが何をっ」
彩景が美しい顔を憤怒の色に染めた。
「彩景さま、本当に欲しいものが手に入らないからといって、よく似た代わりのもので済ませようとするのは止めた方が良いです。出すぎたことを申し上げるのは承知ですが、彩景さまと和真さまは心から慕い合っておられたとお聞きしています。