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　しかし、結果として、香花は知勇の求愛を断った。その時、光王への想いにはまだ気付いていなかったから、断った理由は光王の存在とは関係ない。ただ、明善に似た雰囲気を持つからといって、香花は知勇に恋してはいなかった。その控えめで思慮深い人柄を好ましいとは思っても、その気持ちと胸を焦がすような恋慕の情は全く相反するものだと気付いたのだ。
　結局、知勇は香花に求愛した直後、亡くなった。父親の傍若無人ぶりを諫めようとして、父と揉み合っている中、誤って父を殺してしまったのだ。といっても、知勇が直接手を下したわけではない。組んずほぐれつしている最中に、転倒した使途が頭を強打し、それが因で亡くなったのだ。
　が、孝行息子の彼は父を殺してしまったと深い悲嘆の淵に沈み、自ら屋敷に火を放ち、父の骸と共に焔に包まれて死んだ。