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月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】

第24章 交錯する想い

 それとも、香花がそう思いたいから、彩景の言葉を自分の都合の良いように解釈しているだけ? 彩景が慕っているのは光王ではなく和真だと思えば、香花自身が光王を喪わずに済むからなのだろうか。
 香花は深い息を吐き出し、その場に力尽きたように座り込んだ。今はもう冬珊瑚の実も眼に入らない。彼女は両脚を抱えて座り、膝に顔を押しつけて声を殺してすすり泣いた。

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